読書の秋、読書の醍醐味

親愛なる皆さん
おはようございます。

ここ最近の読書は専ら哲学、学術、経営に関する
書籍の拾い読みが殆どで、長らく小説を読んでい
なかった。時間の合間を縫っての歴史小説を久し
ぶりに読んだ。

吉村昭著「長英逃亡」
5~6年ぶり3度目でしたが、改めて感動した。

若い頃、歴史小説よと言えば、司馬遼太郎。
「竜馬がゆく」にはじまり、「翔ぶが如く」「峠」
「世に棲む日々」「菜の花の沖」・・・等々、
素晴らしい作品の数々を読んだ。

吉村昭氏の著書は、中年オジサンになってから師の
薦めで知り、何冊かを読んだのだが、これがまた
司馬さんを凌ぐレベルの作品で、読んでいるうちに
引き込まれていく。

「長英逃亡」
主人公高野長英の人生の足跡、史実をもとに徹底し
た調査と深い洞察力で、人間の光と闇を見事に描い
ている。高野長英は江戸時代末期の傑出した蘭学者、
町医を開業しつつ西欧事情の研究と執筆をする中で、
幕府批判をし蛮社の獄で投獄され永牢(今でいう終身
刑)となるも、五年後に脱獄し、6年にわたる逃亡生活
の果て捕らわれ47歳の生涯を終える。

ストーリーもさることながら、描写が絶妙。
登場人物の心の動き、感情の機微、息づかい、表情、仕草、
そして、風景も、全てが絶妙、まるでそこに居るようで、
心が痛んだり、ホッとしたり、怒りが湧いたり、嗚咽を
してしまったり・・・ちょっとオーバーですが、
本の中に命が宿っているような感じです。

書いてあることは勿論同じなのに、読むたびに見方、
捉え方、感じ方が違うのは、自分が変化している
からであろう。

初めて読んだ時と同様、当時(江戸時代)に
生きる人たちの精神性の高さに惹かれ、感動するの
だが、あれからおそらく7~8年ほど経っていると
思うが、今回は涙がこぼれて仕方なく、歳を取り
涙腺が弱ったのもあるが、主人公長英に対する愛お
しさのような感情が湧き上がってくるのは、当時は
自分と同世代だった長英が、今は、自分より年下の
若者になっていることに気づいた。

良書を何度も繰り返し読む醍醐味がここにもある。

前回(5年ほど前)読んだ時のレポートが出てきたので、
読み返すとなかなか良いので引用する。

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本業に対する思い入れや情熱、恩ある人へ報おう
とする報恩の精神、縁をとことん大事にする人間同士
の強い繋がり、命がけで本業を貫き、命がけで
仲間を守ろうとするその姿に感動する。凄いと思う。

物語の中に出てくる人々の覚悟に満ちた行動は凄まじい。
重罪を犯し指名手配の長英の逃亡の手助けやましてや
自宅にかくまうなどは死罪に値する時代、江戸の理不尽
な法は、その罪と罰は家族にまで及ぶ。にも拘わらず、
彼らは縁ある人、恩ある人を命がけで助ける、それも
少しの迷いも何の衒い(てらい)もなくである。

実際に、長英が入牢前に、蘭学の門下生であった
高野隆仙は、長英を自宅にかくまい逃亡の手助け
をしたとして捉えられ、100日にわたる過酷極める
拷問をかけられるが、隆仙は一切口を割らず後に釈放
されるのだが、それが原因で身体に障害が生じ、
歩行も不可能となり、短かい生涯を閉じるという史実
も残されている。
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現代の世の中を見渡すと、自分を含め、人間が薄っぺ
らく、弱い。私もコラムや講義で自分を棚に上げて、
よく嘆きボヤいている。故に、小説の中に、理想の姿
を見ようとしているのかもしれない。

他人や世間を嘆く前に、歴史から学び登場人物から
栄養をもらい、まずは自分を鼓舞し奮い立たせよう。

良書を繰り返し読むことの醍醐味を今回は改めて感じた。
読書は心の栄養。 読書の秋、栄養を補給しよう。

今日も一日良い日に致します。
物流応援団長(兼)応援され団長
山田泰壮(やすお) 拝

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